農業は生き方だよな・・って

自分は大学を卒業してから就職し、阪神大震災を経験して農業を始めた。

その時に、北海道の農業系の短大に社会人入学して再度勉強した。

短大は、農業系と保育系があり自分は農業系だったが、興味があったし、保育の教授とも交流があったので保育の実習にもたまに参加していた。

当時交流のあった保育の教授は農家の方とも知り合いが多くよく農業の話をしたもんだった。

その教授が自分に「農業は仕事じゃないよな。生き方だな。」と言った。

恐らく、その教授が何人もの農家の人たちと交流してそう感じたんだろう。

農業を始めて20年以上たつがまさにその教授が言ったことその通りだと最近しみじみ感じる事が多くなってきた。

自分が農業を始めたとき近所の敏腕農家に

「あんた、となり百姓になったらだめだぞ」と言われた。

「何ですか?となり百姓って?」

「となり百姓っちゅうのは、となりがトラクター買ったからうちも買う。となりが農薬まいたからうちもまく。となりが土地広げたからうちも広げる。こういうのをとなり百姓っちゅうのよ」と教えてくれた。

もちろんその敏腕農家は自己判断能力に長けた農家であるのは言うまでもない。

農業というか自営業はゴルフとよく似ている。

スポーツ全般そうだが、練習でやってないことは試合で絶対に出来ない。本番で出る結果は全て練習でやったことだし、出るミスはやってこなかったことでしかない。

練習不足に限って奇をてらうことをするが殆ど上手く行かない。

本当に強いのは、来る日も来る日も基本練習と基礎トレーニングを涙が出るほど繰り返した人間。本番でミスをしないのが最強だし、プロはそれを知っているからそんな地道な練習を繰り返すことが出来る。

ゴルフも同様で、プロゴルファーなんてMAXで振るとドライバーなんて300y超える。だけど試合は距離を競う競技じゃなくてスコアを競う競技。8割で勝てないのはどんな仕事でも同じ。だから、踏ん張りをきかせるべき時に100%発揮できるもの。相手がいくら飛ばそうとそれに動揺せず淡々と自分の戦略で練習通りに攻略する事が出来るかどうかだけの話。つまり自分との勝負。

自分の目標が明確で、戦略が明確だと他人がどう攻めようが全く動揺しないし、それは他人の戦略だし、他人の目標。

自分に明確な目標がなく、十分本番に臨むに足るだけの練習をこなした自身が無く、下調べを怠って戦略がないと他人の戦略にいつも引っ張られるようだ。

農業経営も同様。他人がいくら売上げようが、土地を買おうが全く興味ない。

それは他人の経営で、他人の人生だから。

そもそも金が目的で農業を始めたわけではないので、あそこがいくら売ってるだの、土地を広げただのどうでもいい話。

自分は自分に関わる人に喜んでもらいたいし、家族の時間や体を犠牲にしてまで仕事を優先してほしいと思わないし、そもそもそんなことは働いてもらう人にも、これから老化して行く自分にも永遠に続けられるわけはない。

だからそのために、体が動くうちに休みなどほとんどなく、働いて準備してきた。

今、うちの農園にはカフェも450坪のガーデンも、ため池を利用した釣り堀もある。

そしてこれを作るのに携わってくださった方々との交流は、ガーデンを作らなければあり得なかった。カフェに来ていただいて喜ばれる方や、またうちのガーデンを見に来たんですと訪れる方。うちのアスパラしかもう食べないと言って頂く方。

そして目標にむかって一緒に働いてくれるスタッフたち。

金なんていくら稼いでも、この充実感はこれを実行した人間にしか味わえない。

これからもまだまだやりたいことは山ほどある。

他人の生き方も、他人の目標も全く興味がないのはこれからも微塵も揺るがない。

今までも、これからも、自分は自分の決めた自分の目標と自分と競争して行くだけ。