世界観

柔道の全日本監督が井上康生さんになってからメダルの獲得数が増えているが、
その理由は明白。
以前、井上監督のインタビューで、「これは農業の現状とよく似ているなあ。世代間ギャップはもう埋まらないところまで来てしまったんだろうな」と感じたこと。

井上監督は「もはや柔道は日本のお家芸と言われた時代じゃない。世界の国々の柔道のレベルも上がってきているし、日本の柔道も研究しつくされている。かつ、世界中の格闘技を経験した人が柔道をしている時代は、もはや昔の柔道の「技」の範囲を超え、新たな格闘技から派生したNEW ZYUDO になってきている。だから、我々は逆に世界各地に赴いて武者修行し、世界の格闘技を知り、その受け身、返し技を知ったうえで今の柔道に取り入れる必要がある」と話していた。

 実際、それを行った結果、柔道が急に強くなった。

それ以前は柔道の世界では「日本らしい、一本の柔道」に「こだわっていたらしい」
 
どんな社会でもそうだが、いつまでもお山の大将で入れる時代なんてもうとっくに終わっている。
あたり前で、平成ももう30年が過ぎ、今年でその平成の30年が終わる。
その間に、相手を研究し、分析し、対策を練った海外勢が強くなってきた。

農業の世界でも同様で、日本の技術指導者が海外に赴き現地で技術指導を行っているなんてことは、別に普通でしょと思う。

自分が知らないことイコール世界中の人が知らないこととは全く違うし
自分が出来ないことイコール世界中の人が出来ないことでもない。

自分の知らないことを知っている人の方が圧倒的に多いし、自分のできないことをいとも簡単に
やってのける人間なんていくらでもいるし、自分が限界点と思うレベルをウオーミングアップにもならない
と軽くこなす人間もいくらでもいるわけで。

別格の「ホンモノ」や「本当のプロ」を知らない世界でいると「世界観」や「価値観」の基準点が違うので
話のスタートもゴールも全く違う。

これはどちらがいいとか悪いとか、またそういう話で終わらせたい人がいるが、
単純に「それが事実」というだけの話。

事実をしっかりと「知る」「認識」した後に「対策」を立てないと、それはすでに時間の無駄になると感じる。

なぜか?

間違った情報・事実を仕入れれば、間違った情報を分析し、間違った情報から戦略を立て、間違った練習方法を考え、間違った練習を行うから。
仕事も同様。
ここにはすべて、時間とコストが伴うから。

人生観が多様な時代、ゴールが違えば日々の練習レベルも異なるし、目標が明確であれば最初から耐えうる
心構えも、レベルも異なる。

今までがこうだから・・と言っても、今の時代、それはウオーミングアップにもならないでしょという人が
どれだけいるのか、「知ろうとすることを怠ってきた結果」そういう世界が目の前にもう来ている。

でも全く驚かない。
そういう時代になるのは必然だと思ってきたし、これからは益々加速していく。

ただそれが事実なだけなので、冷静に淡々と、対応し、変化し、適応し続けるしかないから。