戦略と選択と

スポーツを経験した人間はすぐに理解できる事だろうと思うが、(スポーツでなくても囲碁でも、将棋でも、経営でも同じだけれども)勝利するには日々の練習はやって当たり前。しかもレベルの高いところで勝利するにはそれだけレベルの高いの日々の練習を「やり続けられる」メンタルとフィジカルも求められる。

戦略を立てるには大きく分けて2つの要因を考える必要がある。

一つは内的要因であり(自分のチーム事情)と他方は外的要因(相手チームの事情も含めて)

内的要因は、まず自チームの分析を行わないと、そもそも練習方法が確立できない。

アメリカンフットーボールでいうと、走るのが早いのか、遅いのか?筋力があるのかないのか?ボールを扱うハンドリングが高いのか低いのか?熱くなりやすいのか冷静なのか?リーダーシップをとれるのか取れないのか?など。

チームを構成するのは「人」なので、それぞれの「個」の特徴を詳細に分析しないと、今ある戦力がどうだからどういう戦略をもって戦うのか、そしてそのためにはどういう補強を行えばいいのか?の「進む方向性」が決まらない。

経験者は理解できるが、戦略は常に変化するのが「当たり前」

だからそれにはまず頭で「そのシステムがどういう風に構成されてゆくのかを理解できないと」いくらフィジカルが向上しようと、メンタルが強かろうと、ミスばかりおかす人間はそもそも周りに迷惑をかけるので試合に出る資格すらない。

常に変化する事は、内的要因だけではないことは、内的要因が常に変化している事を理解出来れば「同様に」、外的要因も常に変化している事も「当たり前」だと知っている。

内的要因で方向性を決定して、ソフトやハードの補強を行う事からスタートして、戦略のもと練習方法決まる。そしてその目的に対して日々のプログラムが決まる。

その前提で、日々そのプログラムが目標到達に対して正しいのか?あるいはどこをどう変化させればよりよいプログラムになるのかを話し合いながら、そのプログラムも日々変化するのもあたり前。

そうやって目標に向かって組織を構築して行き、試合に臨みながら試合ごとに変化する相手チームをスカウティングして、次の試合までにまた新たな戦術を用意し続けてシーズンを戦う。

だけどそんなことは所詮、データをもとにある程度は想定できる「傾向と対策」なので「ソフト」が充実すれば、プログラミングでなんとかなるレベル。

一番難しいのは、予想がつかない「想定外」の事が起こった時にどうするかということ。

当然、いつもいつも晴れているわけでもなく、風が吹かないわけじゃない。

何もないレベルでないと動けないチームは、所詮弱小。本当に強いチームは、何もないと「更に」強い。熱い条件も同じ。寒い条件も同じ。飛ぶボールになるのも、飛ぶバットになるのも同様。自分にとって「与えられている」条件は、相手にも同様なのでそれは何のアドバンテージにはならないことも、スポーツをやっていた人間はよく知っていること。

相手も当然「考える集団」なので、想定外のことも用意しないと勝てるわけがない。

あからさまにわかりやすい見え見えの変化は、レベルの低いチームには通用するけれど、レベルが高いチームになると分からないような変化を少しずつ入れてくるので、なかなか穴が見つけにくいが、気付くのが遅いとじわじわとやられてしまう。

想定外のことが起こった時、それは「今までと違う事」が目の前で進行しているという事。それはスポーツだけに限ったことではない。

その時に求められる能力は、瞬時に「今までを捨てて目の前に対応できる能力」つまり、判断する能力も含めて全て「戦力」なので、いくら練習をして図体がでかくても、対応力のないチームはもう勝てない。

対応力は、一朝一夕に身につく能力では「絶対に」ない。

日々の訓練の中で「遊び」の中から生まれるものなので、想像力がないと生まれない。何かを考えて生み出すことを習慣にしていると、それは対応力にも比例するので、考えて動くことのできるチームだし、それは状況の変化を共有できる組織なので強い。

今までと違う事をやるには、その分「今までを捨てる」という判断を同時進行で行う必要があるが、それは緩慢に動いた経験しかないとそのスピードがなぜ必要なのかが理解できない。そういう世界では、体脂肪のない筋力がピークに鍛え上げられた人間しか動いていない世界なので、そのクイックネスが「標準」として求められる。

農業の世界も、どんどんグローバル化し、情報社会になり新たな局面に入った。大きいなら大きいなりの筋力と頭脳を持ち得ていないとクイックに対応できないし、小さいなら小さいなりの頭脳とクイックネスが必要。

クイックに動くには常に「対応する能力」が必要。そのためには「何かを捨てながら」「何かを手に入れる」ということを同時に求められるので、判断力が必要な時代に突入して行くね。