プランニングとリーダーシップ

アメリカンフットボールを観る人、あるいは興味がない人でも名前だけは知っているかもしれないトムブレイディ。アメリカンフットボールの最高峰、スパーボウルを7回も優勝に導いて5回もMVPを獲得しているレジェンド。

彼は昨年まで所属していた古巣を後にして新チームに移籍し、そこでもスーパーボウルを優勝に導いた。新チームが競合だったかというと、前年は負け越しのチームだった。

そこで彼がやったことは明白だったと思う。

勝ち方を知っている人、しかもそれが当たり前の「習慣」として練習にも取り組む姿勢がある人。そういう人は目指すレベルが「最初から」優勝そこしかない。一方で、勝ち方を知らない人、負けぐせがついてしまって、しかもそれが当たり前でいると、負けることに対してマヒしてしまった環境で過ごす。そして負けることが習慣化してしまうとその思考レベル、行動レベルが習慣化してしまう。まずその現状を解いたのだと思う。

これは自分も経験しているからよくわかる。負け癖がついている環境で過ごすと、それが日常になるので負けても悔しいが、努力していない分悔しさのレベルもそれほどではなくなる。悔しさのレベルがそれほどでもなくなると、それを打破して「なんとしても勝ちたい」という意欲がなくなる。

他方で、勝つことが当たり前で常に結果を求められた仕事をしていると、それだけ取り組む姿勢が真剣だし、結果が出たとしても、その内容に不満を持つようになり更に努力をするようになる。

が、これはそのレベルの人と出会い、かつ、それに取り組んでその結果を自分で獲得し、自分が成長したことを認識できる経験を持った人にしか分からない大きな人生経験で、これを若いうちに経験している人は幸せだと思う。こういう経験をしていると、周りに感化されずに俯瞰的にゴール設定と現状との差異を常に認識する習慣がつく。

そこを認識するには、個人的な感情も、個人的な体調も、周りの人がどうするのかも全く関係なくドライに淡々と冷静に分析できる習慣が身につく。

つまり、職場に立った時点で個人だれだれではなく、その職場での与えられたポジションA、Bとしてやるべきことを淡々とこなすようになる。

そこには、暑いだとか、疲れているだとか、痛いだとか、周りがどうかのだとかの言い訳の要素は全く必要なく、与えられた仕事を「する」のか「しない」のかしか必要なくなる。それが結果につながるし、結果につながる。

プランニングとは、こういう会社にしますとか、こんな雰囲気の会社にしますとか、おいしい空気と青い空がある会社ですとか、それはドラえもんの「あんなこといいな、できたらいいな」の世界で十分であって、それをいつまでにやるのか?それを具体的な作業工程と人や機械を使って、人材育成をしながら、しかも時代にアジャストしていくために具体的に「考えることのできる人材を育成するのか」などを明確に立てることがそれ。そこに行くために必要なのがリーダーシップ。

自分が成長したということを認識できる経験を持っていると、成長する喜びや快感を知っているが、それを知らないと、金やものに満たされないとステップアップが認識できないので不安になる。また、成長を認識できないと不安になるのでみんなと一緒でいることでその不安をすり替えてしまうが、その両者ともは自分が成長したこととは全く異なるけれども、それを認識する術を持たない。

リーダーはボスと違って、自分がその場に身を置いて自分が先頭に立って行動する人間。スポーツでいうところのキャプテン。つまり、先頭に立って今を一緒に成長する人。ボスは、オーナーみたいなもので、その場で一緒に行動するわけじゃない。

今までを踏襲していれば何とかなった昭和の時代。地域という言葉の示す地域とは、おらが村、知っている数十人で良かった時代から、モノがあふれて世界中のモノがネットで簡単に比較できる今、同じものは安い方でいいしその競争相手はもはや世界中。同じものはどんどん価値を失ってゆく。現代では、「地域」という言葉の概念も、人によっておらが村なのか、北海道なのか、日本なのか、アジアなのか、北半球なのかそもそも違う。その「地域」のリーダーとして具体的にどう行動するのかも、そもそもが違えば起こす行動も全く違う。

そう、見てる視野が違えば過程も全く違うし、ゴール設定が明確なリーダーほど、日々の行動も明確なので、目に見えて変わって行くし、だから一緒に行動していると自分の成長を感じられる。そして、成長を感じるという経験をした人はその具体的にどう行動したのかを知ってるので、次につながる。