今年もいよいよ・・

北海道の農業は「見た目」では銀世界に覆われて何もしていない「ように」思われている方が多いと思いますが、実は、農産物を生産して出荷している「以外」の時間が農産物の出来、不出来に大きく影響しています。

同業者の人からでさえ「冬の間何してるの?」と聞かれることがありますが、逆にそういう人には「え、なんで何もすることがないの?」と思う人は、ちゃんと冬の間にシーズン中のミス、計画との差異、原因追及、次年度の計画などをしっかりとオフシーズンにやっている人たちです。

そしてそれはプロ野球の自主トレと同様に、やらなくてもいいことだからやらない人と、やらなくてもいいことだからこそ、やってる人間とスタートですでに差がついている。だからやっておかないともうすでに追いつけないところからスタートを切ると思う人とでは、始まる前から「意識で」差がついている。意識は自分が変わらない限り変わらないので、やらなくていいという環境にいると、その環境ごと置いて行かれるが、他を知らないとその現状がわからないまま年月を過ごす。

他方で、生き残りをかけて自主トレに励むことが当たり前の環境で毎シーズンを過ごす人たちは、シーズンが終了すると「やらない環境」に身を置かずに、とある場所に集まって自主トレを行っている。そしてそれが習慣になれば、「やらないこと」がどれだけ怖いことかが分かってくる。

農業の世界も様々な改革が起こり色々と騒がれているが、正直変化の幅はまあまあ想定の範囲。ただ、想定幅を長期で割り算して、単年度の負担を少しづつ背負っておくのと、そこにくるまで楽をしてきて短期で割り算して背負うのとでは、単年度にかかる負担割合が全く違う。結局ローンと同じで、払う金額の元本は同じ。長期で払えば利子分が高くなるという人もいるけれど、単年度の負担は長期払いの方が軽くて済む。

人間は必ず加齢により、体力も、思考も、スピーディーに反応しなくなってくるのは万人に共通。それを「最初から」認識していると均等割りなどせずに、できるだけ若いうちに負担の大きいことは片付けておいて、やっと自分にかかる負担は均等になると想定できるもの。

しかも、今の時代を今の時代感覚で生き抜いて行く人たちは、今の技術や情報を駆使することが当たり前だから、過去のスピード感や価値観は全く意味をなさない。

それは限定された地域での価値観や常識においても同様。自分たちが格安航空やamazonを利用し便利になるということは、それだけ海外資本も日本に入ってきているし、そことの競争にもさらされているという事。ものが安く、便利に手に入るということは、自分たちもその環境でどう生き残るかを考えて、準備し、変化して行くのは至極当然の事。

コロナコロナの現状では経済が動かないけれど、いつまでもコロナで経済が停滞しているわけじゃない。それとはまったく別の問題として、肥料の問題や、高齢社会の問題が存在するが、それぞれに引き金となる原因は異なるので、何でもかんでもいっしょくたんにしてしまうとそれぞれの対処が出来なくなる。

様々な要因が重なった時ほど、その絡まった糸は1本なのか?5本なのか?を冷静に紐解いてにその対処法を考えて、準備しておく習慣を身につけておかないと、ただただパニックになるだけで時間を無駄に過ごし、対処できずに置いて行かれる。

うちの農園も平々凡々では行かないが、できるだけ長期で割り算していたので、想定の最小限の痛手と変化でなんとかなるかな?

自分が農業を始めたときからやりたい農業は全く変わらずに、今年いよいよその一つがスタートを切る。これからも今まで準備してきたものが、一つずつスタートを切って行く。

それは外的環境とは別の話し。あくまでも自分が準備してきたか、してこなかったかの話しなので、出来ないのは全部自分の責任。

取引先のみなさんに今までもお世話になってきたので、出来る限りご迷惑をおかけしないように、そして更に喜んでいただけるように、毎年毎年こつこつとやるだけ。

それはずっと変わらんね。