これからの価値

先日、とある銀行の保険業務の営業成績が向上しているというのを見た。
その銀行の保険業務が上向きだしたのはここ数年らしい。
それまでは、お客さんがやって来てお客さんが希望する商品だけを進めていたらしい。
行員がマニュアル通りの知識をある程度は習得し、数人が来客に対応していたらしい。
接客時間に対しての時間はもちろん売上にはならない。
当然、以前の方が人件費は安かった。

しかしそれを予約制にし、一人のお客さんに対する接客時間を何時間も割いてじっくりと話を聞き、今ではなく将来に対する保険を進めるようにしたという。
もちろん、専門知識を要するスタッフを張り付きにして1日中保険の業務に専念するという。
これによって、飛躍的に保険の業務が伸びたという。

これは今の農業の世界にもそのまま当てはまる。
この会社の戦略はこうですよ。理念はこうですよ。そして、未来はこういう風に考えています。この方向性に向かって一緒に働きませんか?と未来に対する働き方の提案をしないのになぜその職場で働きたいと思うのか?

農業は「3Kですよ」と平気で言う経営者のもとで、自分なら働きたいと思わない。
例えば、今はこうだけど一緒に将来はこうしようよ!とか
こうやって苦労した先には、一緒にいい車に乗ろうよ!とか
一緒に幸せにならないと意味がない。

未来の形を示さない経営者について行こうと思わないのはあたり前。
今しか考えないのは農家の都合であって、5年後に引退するのか3年後に引退するのかはその人の問題。
これから何十年も子育てをし、教育にかかる資金や住宅の問題、自身の老後の問題など、働く側は未来に対する不安でいっぱいなのに、今のことしか言わない。
これは、人のもとで働いた経験がないと分からない。

これは、取引先に対してもお客さんに対しても全く同じだと思う。

「一緒に!」良くならないと続かないし、そこに「価値」を感じない。

それには「今」じゃなくて「未来」に対する投資が大切だけど、そういう「理念」がないと投資も説明もできない。
そういうもとには人も集まらないのはあたり前だと感じる。