奪い合えば足らぬ、分け合えば余る

お金も、モノも、土地も、車も・・・

目に見えるものの欲ってきりのないものなんだとつくづく思う。

確かに若い時には「物欲」が必要だと思うし、また欲がないとハングリーさもないと思うし、またそれがパワーになって行動する原動力にもつながっていると思う。

が、これがある一定の年齢を超えているのも関わらず(一般社会で言われる管理職と言われる年齢)奪い合う発想しか持たないのはどうも・・・

先日ダルビッシュ投手の特番をやっていたので観ていた。

彼は日ハム時代に、現ソフトバンクホークス監督の工藤さんからインタビューを受けていた際に

「自分は常にテーマを持って練習していますよ。それは高校時代からそうです。だから練習は手を抜かないし、常に試行錯誤してます。だから練習はしんどいのが当たり前ですよね。試合は、その自分のやったことが通用するかどうかを試す場所だから楽しいですよね。練習と試合は別物なので、試合で使い物にならないとそれは意味がないことです。」

日ハム時代から彼は6種類のスライダーを「意図して」投げ分けが出来ていたし、それを聞いてあの名投手の工藤さんが「信じられない!」とおっしゃていたが、野球をしてピッチャーだった自分には何のことだかレベルの違い(あたり前だけどW)にただただ

プロのレベルはやっぱりすごいなと思った。

その彼がメジャーに行くのが決まった後に、交流戦だったかな?当時広嶋カープのエースのマエケンが打席に立った時にマエケンに対して全球種を投げたそうだ。

それを聞いたときに彼は「粋だな」と思った。

その投球には色んな意味が隠されていて、もの言わずとも伝わったんだとマエケンも後日それを語っていた。

そのダルビッシュ投手は非常に研究熱心で、自己分析能力に長けているのはメジャーの中でも有名な話。今年年齢を重ねてもなおストレートの球速も増し、最多勝投手にもなり、サイヤング投手候補の3人に選ばれたが惜しくもタイトルを逃した。

その彼が特番の中でこういうことを言っていた。

「もう自分が出来ることをいくら隠していても、自分だけの技術にしていても、野球界のためにならないし、野球界が盛り上がらないですよね。自分の技術は何でも教えますよ。これからの若い人達がそれで成長してもらった方が野球界にとってプラスですよね」

あるアスパラ農家も同じことを言っていた。

「アスパラ農家どんどん増えて、おいしいアスパラ作る農家増えればいいんですよ。もっとアスパラが美味しいって分かってもらってどんどん食べてもらった方が消費が増えるし、分母が増える方が産業全体でいいことですよね」

結局のところ、そもそも目指すものが違う。

産業全体が衰退すると、自分だけ儲けようと考える人は、その産業のなかにいる「自分」も衰退している渦の中にいることに気付かない。これは我々の年代は人気スポーツが野球だったものが、Jリーグが発足して野球人気からサッカー人気にシフトし、一時野球離れが起こり当時野球関係者が危機感を募らせていたのと同じ。ファンがいなくなると、観客動員数が減少し、それはグッズの販売や、選手の年俸や、付随する関連企業全体の衰退につながる。

 

自分もそういう人の器の大きな人の「背中」をみてきた。

そういう人たちは、自分が得たものを自分だけのものにせず必ず次世代に送る。

それは送るだけの価値が十分にあり、送られる側もその価値が十分に感じるからこそその人を必要とする。だから次世代がそこに集まるし、そういう人はいくつになっても求められる。学ぶことがいくらでもあるから。

自分がその産業で生き残れないからといって、人の時間を搾取したり、金を奪い合ったところで所詮、金にも、人の時間にも、自分の時間にも必ず限界は訪れる。

産業全体の底上げは、はっきり言ってしまうと「先行く人間の責任」だと思うし、

その逆もまた同様だと思う。

産業全体を底上げしながら、その場所で生き残るかどうかは自分の努力と創意工夫でしかない。いつもいつもは「協力」じゃなくて「実力」

緊急事態や突発的な時にみんなでやるのが「協力」

バブルの感覚がいまだに抜けきらない「奪い合い」

もう奪い合うものは残ってない。

人も金も疲弊している現状は「分かち合い」

分かち合うのは金でもモノでもない「目に見えないもの」だけど

目に見えるものだけで生きてくるとそれが見えない。