最初は「あえて」非効率をとるわけ

 

最近は農業の世界でも「効率化」とよく耳にするが、同じ「効率化」でも、自分で考えて全部やってみた結果、それが無駄なことだと分かったり、時と場合によって、今やれば更に精度が上がるが、今は省いても後でやれば帳尻が合うなどと判断して順番を入れ替えられるようになっての「効率化」したものと、最初から条件や答えを与えられたいわゆる答えを「与えられた」「効率化」ではその時は同じでも後々大きく結果に差がついてくる。

今だけ簡単に効率化する事はそんなに難しくない。今、上手く行く方法だけを採用すればいいだけで、それはそれほど難しいことじゃない。だけどそれは続かない。

今上手くいくことを探してもそれは「今だけ」上手く行くことであって、時代が変わり、志向が変わり、国の内情が変わるとそれは全部変わってしまうが、その時に対応する術を待たない。

一方で、最初から自分で考えて物事を行うとまずほとんどの事が壁にぶつかる。やってはやり直しやってはやり直しの繰り返しだが、自分で考えて行動していると「失敗の分岐点」に気付きだす。

最初は目標に向かわない失敗のベクトル方向に、労力をかけることに時間を費やす。殆ど同じレベルを行ったり来たりしているが、それを繰り返していると、やがて間違っている方向に向かっている事に気付きだす。そのうち、ミスの方向に大きく踏み出さなくてもそれはミスをするという事に気付くことがどんどん早くなってくる。つまり、目標と違う方向に向かっているという「判断能力」が向上してくる。

若いうちは体力があるから、集中力が持続するので、トライ&エラーの反復を幾度も幾度も繰り返すことができるが、体力が低下してくると集中力が持続しなくなるので、若いうちに何度も失敗しそれを修正するということを習慣づけないと、年とともにそのルーティーン能力は必ず低下してくる。

上手くいかないのは、最初から「上手く行く」方法を安易に手に入れてしまったからだし、上手く行くのは、最初に「上手く行かない方法探し」に着手したからで、上手く行かなくても、「上手く行かない方向に行かないという判断能力」を身につければ、徐々に安定の範囲に入ってくる。

経営は、大きかろうが、小さかろうが、若かろうが、年を取っていようが、「失敗の原因」は変わらない。出来るだけ小さいうちに、若いうちにたくさんの失敗をしておいた方が、後々判断能力が向上して「ミス」が少なくなる。

スポーツも経営も、「ミスをしたら負け」のゲームなので、上手く行くこと>ミスであれば規模が小さくても安定し続けるし、少しづつ大きくしても大きくミスする可能性は少なくなる。

どこをゴール設定にするかを明確に持っていると、どこまでをしっかりと失敗し、判断材料を集めるための投資の期間、どこからがその材料を使いながらの安定期に入っての回収の期間と、計画的に行動できるもの。

もちろん、今の時代は、それ以上に自分の判断能力を上回る「世の中の動き」が加わってくるので、なおのこと、ミスをしてリカバリーする時間を大きく費やしていては取り返しがつかない時代になっている。

非効率を最初に選択して「一見すると」回り道や、非効率に見えたこと、「そんなことまでしなくても・」が今から回収されるような時代なんじゃないかと思う。