視点の始点

今まで相当数の農業経営者また、他産業でもご活躍をされている方々にお会いし、感銘を受けた。
中でも農業という仕事をして行くうえで「なるほどな」と衝撃を受けた方2名。
 1人はとある酪農家の方。
 「自分のやっている酪農という仕事は紀元前5000年からの仕事。その仕事に携わっているというプライドと、その反面、この仕事の歴史の長さから見た、たかだか自分が酪農に携わった数十年、北海道での僅か数代の歴史を経験とは感じない。そういう観点で見れば、新規就農も我々も経験値なんておんなじだ」と語ったこと。
もう一人は自分よりも若い新規就農者。
 「地球の誕生の歴史からすると、人類の誕生は大みそかの11時59分58秒で、農業を始めたのは11時59分59秒からさらに秒針が動き始めてからなんですよ。そういう観点から見ると、経験値という観点で行けば、まだまだチャンスは平等ですよ」と語ったこと。

確かに、なるほどなと思った。

自分も農業をやっていておんなじことを感じる。仮に、自分が1000年生きることが出来たとしてこの仕事をやり続けていたとしても、生命の誕生の根源の植物や発酵、微生物や大気や水。ほとんどわからずじまいなんだろうなと感じる。
歴史認識をどの視点で見るかで「経験」というものは大きく変わる。
逆に、そういう観点でいれば一生学ぶ楽しさや、失敗すること、いろいろなことを訊いてみること、自分よりも年下の人にも訊いてみることなどが恥ずかしいなんて、そもそもどうでもいいこだと感じる。
 世界基準で仕事をされている方々ほど、絶対に人の失敗を笑わないし、自分の優位性なんてたまたま先に生まれただけの優位性でしかない。と話されます。また、若い人の意見に興味深く耳を傾ける、そして次世代を育てるために必ず協力していただける。
 人それぞれで「視点」も「始点」も様々でどこにそれを置くかは自由だが、最初の最初からの「始点」、世界基準からの「始点」での話はブレない。